デジタルフォレンジックは、サイバー攻撃や情報漏洩の原因究明に欠かせない調査手法ですが、データの暗号化やクラウド化、法的制約といった技術上の限界があります。自社内のみで解決しようとすると証拠能力を失うリスクが生じます。限界への適切な対応策と信頼できる調査会社の選び方を把握し、迅速なトラブル解決に役立ててください。
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デジタルフォレンジックの技術上の限界
デジタルフォレンジックは万能ではなく、現代の技術環境や法的制限に伴うさまざまな課題や限界があります。
暗号化・復号への対応
高度な暗号化技術が施されたデータやストレージの解析には限界があります。強力な暗号アルゴリズムや複雑なパスワードが設定されている場合、復号鍵の入手やパスワードを特定できず、解析が困難になるためです。
復号用の情報が得られない状態では、内部に保存された電子データを正確に抽出・解読できず、事件や不正の証拠として採用・活用することが難しくなります。
クラウド上のデータ取得の難しさ
データが海外を含む複数箇所のクラウドサーバ上に分散管理されている場合、データの保全や物理的な取得が難しくなります。クラウドサービス事業者側の利用規約やアクセス権限の制限、さらには国境を越えた法的管轄権の壁があるためです。
結果として、調査に必要な各種ログや内部データを即座に取得・保存できず、原因究明に時間を要するケースが多く見られます。
※参考:クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)|総務省
データ量の増加による解析の遅延
ストレージの大容量化やビッグデータの普及に伴い、解析対象となるデータ量は増大しています。膨大なログデータやファイル群から有用な証拠を特定・抽出する作業には多大な時間と計算リソースが必要となり、事故発生時の迅速な調査対応を阻む直接的な原因となります。限られた時間内に重要データを精査・判定することの難易度が急速に高まっています。
※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0実践のためのプラクティス集 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プライバシー保護と法的な制約
調査対象機器に含まれる従業員や第三者の個人情報・プライバシーデータは、個人情報保護法やGDPRなどの関係法令により厳格に保護されています。正当な法的手続きや本人の適切な同意を得ずに無制限の調査を行うことは許されず、証拠収集の範囲が制限される場合があります。そのため、法令を遵守しながら適切に調査を実行することが重要です。
専門知識・リソース不足への対応
サイバー攻撃の手口は日々高度化・複雑化しており、対応に必要な最新知識や高度な解析ツール、専門人材が社内で慢性的に不足しています。専門知識を持たない自社内のリソースのみで調査対応を試みた場合、解析の不備や証拠保全の不徹底が生じやすく、裁判や行政手続きで有効な証拠データを十分に確保できないリスクが高まります。
※参考:国家サイバー統括室
リモート環境におけるデータ保全
テレワークの定着により端末が社外ネットワーク上に点在する環境では、遠隔地にあるパソコンやモバイル端末のデータを「証拠の同一性」を維持したまま正確に回収・保全することは困難です。ネットワーク経由でのデータ取得には通信途中のデータ改ざんや欠損のリスクが伴うため、現地での物理保全と同等の証拠能力を持たせることが難しいという課題があります。
※参考:プラクティス7-2 従業員の初動対応の規定 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
PPAP対策やメールセキュリティ強化サービス
サービスの概要資料を受け取るデジタルフォレンジックの限界を感じた際の対応策
デジタルフォレンジック調査において自社内での技術的・法的限界に直面した場合は、適切な代替手段や外部支援をスピーディーに取り入れる対応策が不可欠です。
対応できる専用サービスの調査・導入を進める
デジタルフォレンジックの対応範囲や社内リソースに限界を感じる場合は、専用サービスを調査し、導入を検討するのがおすすめです。専用サービスでは、証拠保全からデータ解析、インシデント対応までを一貫して支援できるものもあり、専門知識を持つ担当者によるサポートを受けられます。
専門業者の活用を検討する
技術的な限界や専門知識の不足を補うためには、高度な解析技術と実績を持つ外部のデジタルフォレンジック専門業者へ速やかに調査を委託することが効果的です。専門業者は最新の解析ツールやノウハウを網羅しており、自社内では対応が困難な暗号の解除や削除データの高度な復元などを実行できます。
初動対応を迅速に行う
データの改ざんや上書きを防ぐためには、問題発生直後の初動対応が重要です。被害が発生した端末を即座にネットワークから切断し、不用意な電源のON/OFFやデータの操作を避けることで、ログの喪失を防ぎます。メモリやストレージの保全作業を迅速に行うことで、調査への影響を最小限に抑えられます。
法的手続きをあわせて進める
技術的な調査だけで十分な証拠が集まらない場合や、関係者が調査に協力的でない場合は、弁護士などの専門家と連携して法的手続きを並行して進めます。裁判所の証拠保全手続きや開示請求を活用することで、技術的な壁を法的権限によって突破し、法的に有効な証拠を確保することが可能になります。
クラウドログを早期に確保する
クラウド環境上のデータやログは保存期間があらかじめ定められていることが多く、時間の経過とともに消去されるリスクがあります。限界を感じた時点で即座にクラウド管理コンソールからアクセスログや監査ログをローカル環境へダウンロード・保存し、証拠保全を行うことが重要です。
大量のログを手動で管理することは現実的ではないため、自動収集・長期保管が可能なアーカイブシステムを平時から導入しておくことが有効です。
PPAP対策やメールセキュリティ強化サービス
サービスの概要資料を受け取るデジタルフォレンジック調査会社の選び方
社内調査や法的対応を外部委託する際は、企業の目的に合致した適切なデジタルフォレンジック調査会社を選定する必要があります。
※参考:プラクティス5-2 サイバーセキュリティ対策において委託すべき範囲の明確化とその管理 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
実績
サイバー攻撃や情報漏洩などの多様な事案に対する豊富な調査経験や支援実績の有無を確認します。自社の業界や発生したトラブルに類似する案件の対応実績が多い調査会社ほど、迅速かつ正確な原因究明や状況に応じた適切な対応策の提示が期待できます。
さらに、過去の対応件数や官公庁・大手企業での導入実績を公開している会社であれば、より信頼性の高い分析結果を得られます。
技術力
最先端の解析ツールや高度な復元技術を保有しているかを確かめます。高度に暗号化されたデータや不当に削除されたログの解析、複雑なクラウド環境からのデータ抽出など、自社の被害状況に対応できる専門知識と高い分析技術を備えている点が重要です。
定期的な技術トレーニングを実施し、日々高度化するサイバー攻撃の手口に対応できる体制を整えているかどうかも選定のポイントです。
セキュリティ体制
依頼先の自社内部における情報管理体制が強固であるかを見極めます。調査過程で自社の極秘情報や個人情報を預けることになるため、ISO/IEC 27001(ISMS)やプライバシーマークなどの第三者認証の取得状況、厳格なデータ管理プロトコルの有無を事前に確認します。
万が一にも調査会社からの二次漏洩が発生しないよう、物理的・技術的なセキュリティ対策の徹底度を検証する必要があります。
対応スピード
事態の拡大を防ぎ、迅速な二次被害防止策を講じるためには、初動対応や調査着手までのスピードが欠かせません。24時間365日の相談受付体制や、現地への即日駆けつけ対応、即時のデータ保全作業に対応できる機動力を持った会社を選定します。
事故発生から初動調査までのタイムラグを最小限に抑えることで、証拠データの消失を防ぎ、被害の影響範囲を短期間で特定できます。
報告書の証拠能力
作成される調査報告書が、裁判所や行政機関などの公的機関で法的証拠として認められる品質を備えているかを検証します。チェーン・オブ・カストディ(保管連続性)の担保や法的要件に則った書式での報告書作成が可能であるかが重要な基準となります。
将来的な損害賠償請求や刑事告訴などの法的手続きを見据えている場合、弁護士と連携実績のある調査会社を選ぶことが望ましいです。
PPAP対策やメールセキュリティ強化サービス
サービスの概要資料を受け取るまとめ
デジタルフォレンジックは、サイバー攻撃や情報漏洩の原因究明において不可欠な調査手法ですが、データの暗号化やクラウド化、法的な制限などによる技術上の限界があります。万が一の不祥事やセキュリティ事故が発生した際は、社内のみで解決しようとせず、速やかな端末の隔離やログ保全といった初動対応を行うことが大切です。
その上で、実績や技術力、セキュリティ体制、対応スピード、報告書の証拠能力などを総合的に判断し、信頼できる外部の調査会社へ早期に相談を行うことが、被害拡大の防止と問題解決への最善策となります。
ただし、外部の調査会社へ依頼しても、調査に必要な証拠データが残っていなければ十分な原因究明はできません。そのため、平時からメールやTeamsなどのログを改ざんや削除ができない形で長期間保存し、証拠保全を行える環境を整備しておく必要があります。
Cloud Mail SECURITYSUITE(CMSS)は、既存のメールシステムにセキュリティ機能と管理機能を追加し、安全なメール運用を実現するメールセキュリティサービスです。
また、ENTERPRISEAUDIT Σは、メールやTeamsのメッセージを長期保管・かんさできるメールアーカイブサービスです。高度な検索機能によって証拠データの保全や監査、eDiscoveryに対応できます。ぜひ導入をご検討ください。


