公開日

2026年7月28日

デジタルフォレンジックの必要性とは?証拠保全から再発防止まで解説

デジタルフォレンジックの技術上の限界|対応策、調査会社の選び方も解説

デジタルフォレンジックの必要性について解説します。サイバー攻撃や情報漏洩が発生した際、電子的記録の調査が被害範囲の特定や法的証拠の確保に不可欠です。本記事では、デジタルフォレンジックの種類や具体的な調査手順、専門の調査会社に依頼するメリットを解説します。

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デジタルフォレンジックとは

デジタルフォレンジックとは、電子的記録を収集・分析し、サイバー犯罪の原因究明や法的証拠の確保を行う科学的調査手法のことです。 

デジタルフォレンジックの定義

デジタルフォレンジックとは、サイバー犯罪や情報漏洩などのインシデントが発生した際に、電子的記録の証拠性を保全・収集・分析する法科学的手法のことです。コンピュータやネットワーク内のデジタルデータを法的証拠として有効に活用するため、データの改ざんを防ぎながら客観的な事実を明らかにします。 

※参考:デジタル・フォレンジック|警察庁Webサイト

デジタルフォレンジックの役割

デジタルフォレンジックの役割は、不正アクセスの経路や被害規模を正確に特定し、法的機関や裁判所に提出可能な証拠を確保することです。サイバー攻撃の痕跡を調査して原因を究明するだけでなく、企業の社会的信用を守り、迅速な初期対応と二次被害の防止につなげる極めて重要な役割を担います。 

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デジタルフォレンジックが必要とされる理由

デジタルフォレンジックは、サイバー攻撃や情報漏洩が発生した際に、電子的記録を保全して原因究明や法的証拠の確保を行うために必要です。 

サイバー攻撃の原因を究明するため

企業が不正アクセスやマルウェアの感染などの被害に遭った際、攻撃者がどのような経路で侵入し、システム内でどのような操作を行ったのかを正確に明らかにする必要があります。

デジタルフォレンジックを導入することにより、通常では確認できない削除されたログの復元や、プログラムの動作履歴の解析が可能です。これにより、サイバー攻撃の根本的な原因をシステム内部の電子的記録から客観的に突き止めることができます。 

被害範囲を特定するため

サイバー攻撃を受けた際、社内のどのサーバや端末まで影響が及んでいるかを明確に把握することが求められます。デジタルフォレンジックを実施することにより、ネットワーク内の通信ログや端末の動作履歴を詳細に追跡できます。

これにより、機密情報や個人情報の漏洩がどの範囲で発生したかを正確に特定し、迅速な二次被害の防止措置を講じることが可能です。さらに、影響を受けていない安全なシステムを切り分けることで、業務再開への判断材料としても役立ちます。 

再発を防ぐため

デジタルフォレンジックは、サイバー攻撃の再発を防ぐための具体的な対策を構築する上で不可欠です。電子的記録から脆弱性を突かれた原因やプログラムの挙動を詳細に分析することにより、セキュリティ上の欠陥を正確に把握できます。

この分析結果をもとに、システムの改修や不要なポートの閉鎖、アクセス権限の見直しなどを行うことで、将来的な同種インシデントの発生を効果的に防ぐ体制を整備可能です。さらに、調査報告をもとに従業員への教育を徹底することも、組織全体の防御力強化につながります。 

法的証拠を確保するため

インシデントの原因が外部からのサイバー攻撃であれ、内部不正による情報漏洩であれ、将来的な法的措置や損害賠償請求を見据えた証拠の確保が必要です。デジタルフォレンジックでは、データのコピー時にハッシュ値を算出するなど、裁判所や警察などの公的機関に提出しても改ざんを疑われない厳格な手順でデータを保全します。これにより、法的証拠能力を担保した客観的な事実証明が可能となります。専門家による報告書は、訴訟手続きにおいて自社の正当性を主張する強力な武器です。 

※参考:不正アクセス発生時のフォレンジック調査の有効活用 に向けた着眼点|個人情報保護委員会

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デジタルフォレンジックの種類

調査対象に応じてコンピュータ、ネットワーク、モバイル、ファストフォレンジックなどの種類があります。 

※参考:デジタルフォレンジック|大阪テック

※参考:今後重点的に取り組むべき研究開発課題について

コンピュータフォレンジック

コンピュータフォレンジックとは、サーバやデスクトップパソコン、ノートパソコンなどの端末を対象に電子的記録を分析する手法です。ハードディスクやメモリに格納されたデータを抽出し、不正アクセスの痕跡、不正なプログラムの実行履歴、削除されたファイルの復元などを試みます。

端末内部に残るシステムログやレジストリ情報を精査することで、マルウェア感染の原因や内部不正におけるデータの持ち出しといった不正行為を客観的に証明できます。 

ネットワークフォレンジック

ネットワークフォレンジックとは、ネットワーク上を流れる通信データ(パケット)や、ルータ、ファイアウォールなどの通信機器に残されたログを収集し、電子メールの送受信履歴や添付ファイルを抽出・分析する手法です。

これにより、外部からの不正アクセスの侵入経路や、内部から外部へ向けて大量のデータが送信された形跡、不正や情報漏洩が行われた証拠などを追跡できます。通信の履歴をリアルタイムまたは過去に遡って解析することで、被害の拡大を防ぐとともに、どのデータが外に流出したか、いつ、誰が、どの宛先へ、どのようなメールを送受信したかを正確に特定できます。 

モバイルフォレンジック

モバイルフォレンジックとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を対象に、電子的記録を抽出・分析する手法です。端末内に保存されている通話履歴やショートメッセージ(SMS)、チャットアプリの送受信データ、位置情報の履歴などを調査します。近年、ビジネスシーンでのモバイル端末の利用が急速に拡大していることから、情報漏洩や内部不正などのインシデントが発生した際の事実解明において、非常に重要な役割を果たします。 

ファストフォレンジック

ファストフォレンジックとは、インシデント発生時に迅速な初期対応を行うため、調査対象を重要なデータやメモリ上の情報に絞って抽出・分析する手法です。従来の全データをコピーする手法とは異なり、短時間で被害の全体像や感染の有無を特定できます。これにより、システムの停止時間を最小限に抑えながら、ネットワーク内における被害の拡大を未然に防ぐことが可能となり、近年の高度なサイバー攻撃対策において重視されています。 

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デジタルフォレンジック調査の手順

状況把握、証拠保全、データ調査・解析、結果報告という厳格なステップを踏んで電子的記録を調査します。 

インシデント発生時の状況を明らかにする

インシデントが発生した際は、まず被害に遭ったシステムや端末を特定し、発生している事象の正確な把握が必要です。不審な挙動が確認された日時、影響を受けているサーバの範囲、発生したエラーの内容などを担当者へのヒアリングや簡易的なログ確認によって整理します。

この初期段階での状況把握が、その後の証拠保全や詳細な解析をスムーズに進めるための重要な土台となり、迅速な初期対応へとつながります。 

データを収集し証拠保全を行う

データの収集と証拠保全では、調査対象の端末から電子的記録を改ざんされないよう特殊な技術で複製します。オリジナルの記憶媒体から正確にコピー(イメージング)を作成し、複製前後のデータが同一であることを証明するためにハッシュ値を算出します。この手順を経ることで、データの改ざんや消滅を防ぎ、将来的に裁判所や警察などの公的機関へ提出する場合でも、法的証拠能力を完全に担保することが可能となります。

※参考:「証拠保全ガイドライン 第10版」|NPO Institute of Digital Forensics.

※参考:【システム・セキュリティ管理者向け研修】 新規Bコース 〜インシデント対応初動・封じ込め|医療機関向けセキュリティ教育支援ポータルサイト

保全したデータの調査・解析を行う

保全された複製データをもとに、専門的な解析ツールを用いてインシデントの詳細な調査を行います。OSのシステムログやレジストリ情報、アプリケーションの通信履歴などを精査し、不正アクセスの侵入経路や、マルウェアの実行履歴、削除されたデータの復元などを試みます。

時系列に沿ってシステム内の電子的記録を解析することで、いつ、どこで、どのような不正行為が行われたのかという客観的な事実が明らかになります。 

結果を報告書として提出する

すべての調査と解析が完了した後は、判明した客観的事実と言い切りの表現をまとめた報告書を作成します。報告書には、インシデントの具体的な原因、被害に遭ったデータの範囲、侵入経路、そして今後取り組むべき再発防止策などが詳細に記載されます。

この報告書は、社内での状況共有や経営陣への報告に役立つだけではありません。警察や裁判所といった法的機関へ提出する公的な証拠書類、または顧客や関係者への説明資料としても活用されます。

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デジタルフォレンジック実施時の注意点

ログの上書きや改ざんを防ぐための迅速な証拠保全と、場当たり的ではない抜本的な原因究明が必要です。 

証拠隠蔽やログが流れる前に証拠を確保する

インシデントが発生した際は、時間が経過するほどログが上書きされて消滅したり、悪意のある第三者によって証拠が隠蔽されたりするリスクが高まります。特にネットワークログやメモリ上のデータは揮発性が高く、端末の再起動や通常業務の継続によって速やかに消失します。

そのため、異常を検知した直後に速やかにシステムを隔離し、電子的記録を即座に保全することが重要です。

抜本的な原因究明に努める

インシデント発生時は、目の前のシステム復旧を急ぐあまり、場当たり的な対処で調査を終えてはなりません。表面的なウイルスの駆除や端末の初期化だけでは、攻撃者に悪用された根本的な侵入経路やシステムの脆弱性を見落とすリスクがあります。デジタルフォレンジックを通じて、問題の本質である抜本的な原因を完全に突き止めることが極めて重要です。 

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インシデントが発生した際に自社で対応するために

インシデントが発生した際は、自社で対策することが重要です。電子的記録の客観的な証拠能力を担保するために、ツールを活用し、問題を記録・管理し、解決に導きましょう。

メールの保存や端末ログの保管、資料保管などができるインシデント管理ツールやインシデントレスポンスツールを利用することで、迅速に情報が共有できる、蓄積・共有した過去の対応データをナレッジとして活用できるといったメリットがあります。

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まとめ

デジタルフォレンジックは、サイバー攻撃や情報漏洩といったセキュリティインシデント発生時に、電子的記録を安全に保全・分析して原因究明や法的証拠の確保を行う重要な手法です。インシデントの発生時には、ログの上書きや改ざんというリスクを防ぐため、迅速なデータ収集が必要です。

高度なフォレンジック調査を実施するには、前提として消去・改ざん不可能な形でのデータ保存(証拠保全)が平時から行われている必要があります。

万が一、自社でサイバー攻撃や情報漏洩が発生した際は、原因究明や被害範囲の把握などを行うとともに、再発防止、法的証拠確保といった対策が必要です。もしもに備えて対策を行うことは、確実な問題解決や企業の社会的信用を守ることにつながります。 

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