メール誤送信インシデントは、個人や企業に大きなダメージを与える要因のひとつです。メールの誤送信は一見小さなミスに感じるかもしれませんが、情報漏洩や企業としての信頼喪失といった深刻な問題をもたらします。
本記事では、メール誤送信インシデントを防止する方法や、起きてしまったときの対処法を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
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目次
メール誤送信インシデントとは?
メール誤送信インシデントは、個人や企業が直面するセキュリティインシデントのひとつです。セキュリティインシデントとは、情報セキュリティにかかわる事故や出来事を指します。
メール誤送信自体は軽微なミスから発生するケースが多いものです。しかし、インシデントの影響は組織全体に及び、深刻な事態をもたらす可能性があります。
インシデントとアクシデントの使い分け
インシデントは、将来的に重大な問題へと発展する潜在的リスクを含む事故や出来事のことです。一方、アクシデントは、実害を伴うトラブルがすでに顕在化した状態です。
メールの送信を例にとると、メールを誤送信した時点では「インシデント」の段階ですが、結果として情報漏洩や信頼損失などの被害が生じれば「アクシデント」へと移行します。
2種類のメール誤送信インシデント
メール誤送信インシデントについて、送信する宛先を間違えるケースと、内容やファイルが不適切なケースを解説します。
関連記事:ビジネスパーソンの6割が経験するメール誤送信:効果的な対策とサービスの選び方ポイント!
1.宛先を間違えて送信してしまう
メール誤送信の代表的なケースとして、「宛先の誤り」が挙げられます。宛先を誤ると、本来受け取るべきではない人物にメールが送信されてしまいます。
例えば、違う取引先の同じ名前の人にメールを送ったり、BCCに入れるべきメールアドレスをCCに入れたりするケースがあります。また、単純なタイピングミスが宛先の誤りにつながることも少なくありません。
2.不適切な内容やファイルを送信してしまう
内容やファイルが不適切なケースも、メール誤送信インシデントに該当します。例えば、社内用コメントが削除されないまま顧客へ送られたり、機密情報を含む添付ファイルが誤って外部関係者に共有されたりする場合があります。
内容やファイルが不適切になる主な理由は、確認不足です。過去のメールを編集して使い回すときや、疲労や焦りが蓄積されているときに確認不足が発生しやすい傾向があります。
メール誤送信インシデントにより発生する2つのトラブル
メール誤送信インシデントは、個人や企業に深刻な影響をもたらします。おもに以下の2つのトラブルに注意が必要です。
1.個人情報が流出する
メール誤送信インシデントで懸念されるのが、個人情報の漏洩です。氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスといった情報が第三者の手に渡ると、プライバシーの侵害にあたります。
特に、町内会の名簿や顧客リストなど複数人の情報を含むファイルを誤送信すると、一度のミスで大量の個人情報が漏洩する事態に発展します。
2.機密情報が流出し、企業の信用が低下する
企業においては、社内ノウハウや開発中の新商品のデータ、取引先のデータなどの機密情報が、メール誤送信インシデントによって流出する場合があります。
機密情報が外部に流出した企業は「セキュリティ管理体制が不十分」と評価され、取引先からの信頼低下や契約解除といったダメージを受ける可能性があります。また、情報漏洩によって、経営戦略の露呈や競合への情報提供につながるケースも少なくありません。
メール誤送信インシデントを引き起こす3つの要因
メール誤送信インシデントを引き起こす要因を解説します。個人ばかりが悪いわけではなく、個人を取り巻く組織や企業側の要因もあります。
1.焦りや疲労、気の緩み
焦って作業したり疲労が溜まっていたりすると、宛先の間違いやファイルの取り違えなどが起きがちです。企業の場合は、テレワークで気が緩んだ結果、メール誤送信インシデントが起きるケースも考えられます。
2.セキュリティ意識の低さ
メール誤送信インシデントにより発生するトラブルを甘く見ていると、危機感の欠如から誤送信につながってしまいます。企業の場合は、しっかりとしたメール運用ルールがあるかもしれません。しかし、従業員のセキュリティ意識が低ければ、誤送信が発生してしまいます。
3.メール運用ルールの不備
多くの企業では、メール運用ルールが設けられています。一方、ルールがない、ルールが複雑過ぎる、周知徹底がなされていないといった場合は、誤送信が発生しやすくなります。
メール誤送信インシデントを防止する4つの対策
メール誤送信インシデントを防止する対策を、個人向けと企業向けのものに分けて解説します。
1.チェックリストを作る
メール送信前に確認すべき項目をリスト化し、送信前に全てをチェックする習慣を身につけましょう。具体的なチェックリストの項目は以下のとおりです。
・宛先(To・CC・BCCの区別も含む)の確認
・件名の確認
・添付ファイルの確認
・本文や本文中の機密情報有無の確認
・送信先の社名や担当者にかかわる誤字脱字の確認
・社内用コメントが削除されているかの確認
チェックリストを確認する習慣は、単純ミスによるメール誤送信インシデントが起きるリスクを減らせます。
2.メールサービスの設定を見直す
メールサービスに関する対策も、メール誤送信インシデント対策に効果的です。
メールアドレスを自動補完するオートコンプリート機能は便利ですが、送信先を間違える原因になるため無効化を検討しましょう。
また、送信保留機能を活用し、猶予時間を設けることでもインシデントを未然に防げます。さらに、添付漏れの警告機能や、特定キーワードを含むメールの送信拒否機能などもインシデント対策として効果的です。
3.【企業向け】運用ルールを決め周知する
組織ぐるみのメール誤送信インシデント対策として、運用ルールの取り決めと周知が望まれます。前述のチェックリストの標準化や、重要なメールを第三者に確認してもらうルールなどを導入しましょう。
また、関係者全員にCCをつけてメールを送信するルールにすれば、誤送信をすぐに発見できます。運用ルールをセキュリティポリシーとして文書化し、違反時の対応フローや罰則も明確にしておくことで、組織全体の意識向上につながります。
4.【企業向け】メールセキュリティサービスを導入する
人的対策だけでは限界があるため、メールセキュリティサービスの導入も検討しましょう。メールセキュリティサービスの導入により、確認作業の負担軽減と業務効率化を同時に実現できる可能性があります。
メールセキュリティサービスに搭載されている主な機能は以下のとおりです。
・メール送信前の上長・自己承認
・メール送信の一時保留
・多数に送るメールのBCC強制変換
・添付ファイル分離配送
・送信メールの監視による情報漏洩の防止
メール誤送信インシデント発生時にやるべき3つのこと
メール誤送信インシデントが発生した際に推奨される行動を、個人と企業、それぞれの視点から解説します。
1.誤送信したことを連絡・謝罪する
メール誤送信インシデントに気づいたら、速やかに先方へ謝罪の連絡を入れ、メールの削除をお願いしましょう。
個人の場合はすぐに対応して構いませんが、企業の場合は担当者個人の判断で謝罪させず、管理者や上司に報告させて、組織としての対応方針を決定しましょう。
2.【企業向け】管理者や上司に連絡させる
前述のように、企業でメール誤送信インシデントが発生した場合、詳細な状況を担当者から管理者や上司へ即座に報告させましょう。報告内容は、誤送信した内容や送信先、送信のタイミングなどです。
このような報告が必要な理由は、組織として適切な謝罪の仕方や表現を検討する必要があり、不適切な対応は企業の信頼をさらに損ないかねないためです。
3.【企業向け】原因究明し再発防止策を検討する
先方への謝罪を行った後に、メール誤送信インシデントが発生した根本的な原因を分析する必要があります。個人的なミス、システム的な問題、教育不足など、根本的な原因を特定し、具体的な再発防止策を講じましょう。
事例をヒヤリハット情報として社内共有すると、組織全体のセキュリティ意識向上と類似インシデントの未然防止につなげられます。
メール誤送信インシデント発生時に謝罪するポイント
まず、誤送信先と本来の送信先の双方に対して、迅速に謝罪しましょう。謝罪はメールと電話の両方で行う必要があります。誠意を直接伝えることで、謝罪の気持ちがより伝わりやすくなるためです。
くり返しになりますが、企業における誤送信の場合は、個人の判断で謝罪を行うべきではありません。担当者には必ず上司や管理職に状況を報告させ、組織としての対応方針を決定した上で謝罪に臨みましょう。
メール誤送信インシデントの事例
メール誤送信インシデントの事例として、鹿児島大学の誤送信事例を紹介します。
事例では、大学関係者が学内向け情報を配信する際に、類似ドメインであるドッペルゲンガードメインに対して、誤って学内外の829名分の個人情報を送信してしまいました。
誤送信の根本原因は、メーリングリストへの登録時における単純なタイプミスです。発覚後、大学は該当メーリングリストの使用を一時停止し、誤って登録されていた不正確なメールアドレスを削除しています。
参考:情報セキュリティ10 大脅威 2024~脅威に呑まれる前に十分なセキュリティ対策を~|独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター
サイバーソリューションズのおすすめメールセキュリティサービス
サイバーソリューションズのおすすめメールセキュリティサービスを紹介します。
Cloud Mail SECURITYSUITE
Cloud Mail SECURITYSUITEは、Microsoft 365とGoogle Workspaceに対応したメールセキュリティサービスです。メール誤送信や情報漏洩対策として、自動暗号化、添付ファイル分離、一時保留機能を備えています。
また、複数宛先への一斉送信時にBCCへ自動変換する機能や、重要メールを送信する前の上長または自己による承認機能も搭載されています。
MAILGATES Σ
MAILGATES Σ は、Microsoft 365やGoogle Workspace以外の、クラウド・オンプレミスのメールシステムに対応できる、メールセキュリティサービスです。
危険な添付ファイルを自動検知して削除する機能や、複数の組織階層における段階的な承認フローを設定できる機能など、高度なセキュリティ機能を搭載しています。
まとめ
メール誤送信インシデントを防止するためには、チェックリストの作成やメールサービスの設定見直しなどを実施しましょう。企業においては、運用ルールの策定や周知、メールセキュリティサービスの導入も、メール誤送信インシデントの防止に効果的です。
サイバーソリューションズは、メール関連のサービスを幅広く展開し、多様なインフラ環境に対応しています。コストパフォーマンスに優れており、企業規模を問わず導入しやすい価格設定となっています。
メール誤送信インシデント対策を検討中の人は、ぜひサイバーソリューションズにご相談ください。