サプライチェーンの複雑化や業務委託の拡大に伴い、サイバー攻撃やシステム障害などによる事業停止リスクが高まっています。自社単独の対策のみでは防ぎきれない脅威に対し、供給網全体を視野に入れたリスク管理体制の構築が不可欠です。
本記事では、サプライチェーンリスクの種類や管理の重要性、具体的な進め方を解説します。
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サプライチェーンリスクとは?
サプライチェーンリスクとは、原材料の調達から製造、在庫管理、配送、販売に至る一連の供給網(サプライチェーン)において、業務の停止や停滞を引き起こす障害や損害が発生する可能性を指します。
サプライチェーンリスクの種類
サプライチェーンリスクの種類は、大きく3つに分類されます。
- 地震や台風などの自然災害や感染症の拡大、地政学リスクに伴う「環境・物理的リスク」
- 取引先の経営破綻や物流の滞り、法的規制の変更による「経営・運用リスク」
- サイバー攻撃やシステム障害、機密情報の漏洩といった「サイバーセキュリティリスク」
これらが複合的に影響し、供給網全体を停止させる事態を引き起こします。
近年はサイバー攻撃によるリスクが高まっている
自社が強固なセキュリティ体制を構築していても、サプライチェーンに組み込まれた取引先が攻撃の標的となる事例が相次いでいます。
セキュリティレベルが相対的に低い中小企業や委託先が侵入経路(踏み台)とされ、親会社やグループ全体のシステム障害や機密情報の流出へ発展します。供給網全体の脆弱性を狙う攻撃手法は年々巧妙化しており、ランサムウェア被害の拡大も深刻な懸念事項です。
※参考:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
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サービスの概要資料を受け取るサプライチェーンがセキュリティリスクになる理由
自社単独で強固な防御態勢を構築しても、取引先や業務委託先のセキュリティ対策が不十分であれば、そこが攻撃者の侵入経路となります。攻撃者は最も脆弱な企業を標的とし、ネットワーク接続やアカウント情報を悪用して大手企業へ侵入を試みます。
また、1社の被害が供給網全体へ拡大し、操業停止や情報漏洩を引き起こす点が深刻なリスク要因です。業務委託やシステム連携の増加に伴い、自社の管理体制だけでは防ぎきれない外部脅威が急速に増大しています。
※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省/独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
サプライチェーンリスク管理とは?
サプライチェーンリスク管理とは、調達から販売に至るサプライチェーン全体に潜むさまざまなリスクを可視化・分析し、損失の最小化を図る運用手法です。自社内にとどまらず、取引先や業務委託先も含めた供給網全体で予防策を講じます。
定期的なリスク評価を実施し、有事における業務中断を防ぐ体制の継続的な強化が求められます。
※参考:サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク|経済産業省
サプライチェーンリスク管理の重要性
サプライチェーンリスク管理の重要性が高まる背景には、事業のグローバル化や外部委託の拡大に伴い、供給網全体で発生するリスクの影響が自社へ直接波及する点があります。
特定の取引先でシステム障害や情報漏洩が発生した場合、自社の生産ラインやサービスが停止し、莫大な経済的損失や社会的信用の失墜を招きます。供給網全体の安全性を担保し、予期せぬリスクから事業を守る取り組みは、自社の継続的な成長および取引先からの信頼維持において不可欠な要素です。
※参考:実務者のためのサプライチェーンセキュリティ手引書|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
サプライチェーンリスク管理における課題
サプライチェーンリスク管理を推進する上での大きな課題は、取引先企業におけるセキュリティ対策レベルの把握や統制の難しさです。自社単独での取り組みとは異なり、サプライチェーン全体の情報を正確に集約・評価するには多大な労力を要します。
また、自社のセキュリティ基準を取引先にどこまで求めるかという判断基準の設定や、運用コストの負担調整も難航しやすい要因となります。
※参考:サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
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サービスの概要資料を受け取るサプライチェーンリスクを軽減するための対策
サプライチェーンリスクを軽減するには、社内にとどまらず供給網全体を視野に入れた包括的な管理体制を構築する必要があります。
セキュリティを強化する
サプライチェーンリスクを軽減するには、自社だけでなく取引先も含めたセキュリティ対策の強化が必要です。
具体的には、情報セキュリティガイドラインを策定して順守を求めるとともに、アクセス権限の適切な管理や多要素認証の導入を進めます。また、定期的なセキュリティ診断や監査を実施し、脆弱性を放置しない体制の確立が求められます。
サプライチェーン攻撃では、ビジネスメールを悪用されるケースもあるため、メール送信元のドメイン認証技術である「SPF」や「DMARC」を活用したり、誤送信によるデータの外部流出を対策したりといった、メールセキュリティの強化も欠かせません。
さらに、従業員へのセキュリティ教育を継続し、脅威に対する意識を高める活動も不可欠です。
※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省/独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
SCMシステムを導入する
サプライチェーンリスクの軽減には、SCM(サプライチェーン・マネジメント)システムの導入が有効です。SCMシステムを活用することで、原材料の調達から製品の配送に至るまでの進捗状況や在庫情報を一元管理し、リアルタイムで可視化できます。
特定の供給網で遅延や障害が発生した場合でも、迅速な影響範囲の把握と代替ルートへの切り替えが可能となり、業務中断のリスクを最小限に抑えられます。
BCPを策定する
サプライチェーンリスクを軽減する上では、BCP(事業継続計画)の策定が不可欠です。自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態が発生した際、事業の中断を最小限に抑え、早期復旧を図るための行動手順をあらかじめ明確化します。
自社だけでなくサプライチェーン上の関係企業とも連携し、有事における連絡体制や代替策を共有しておく必要があります。
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サービスの概要資料を受け取るサプライチェーンリスク管理の具体的ステップ
ここからは、サプライチェーンリスク管理を円滑に進めるための手順を解説します。
1. リスクを特定・分析する
サプライチェーンリスク管理を行う最初の手順は、自社および取引先を含めた供給網全体のリスクを抽出することです。調達先や業務委託先の地理的状況、経営基盤、セキュリティ対策レベルを詳細に把握します。
抽出した課題に対して影響度や発生確率を算出し、対応の優先順位を決定します。多角的な分析により、潜在的な脅威を漏れなく洗い出す作業が必要です。
※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省/独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
実務者のためのサプライチェーンセキュリティ手引書|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
2. リスクマネジメントの戦略・計画を策定する
分析結果に基づき、リスク軽減に向けた具体的な方針や運用計画を策定します。リスクの発生頻度や影響度に応じて「リスク回避」「リスク低減」「リスク移転」「リスク保有」の対応策に分類し、優先順位に従い計画を立てることが大切です。
また、有事の際の緊急連絡網や初期対応手順、代替手段の確保といった対応マニュアルを整備し、迅速に復旧できる体制を構築します。
※参考:中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第4.0版|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
3. サプライヤーと共同でリスク軽減に取り組む
サプライヤーのセキュリティ対策を強化するためには、取引先も含めた供給網全体でリスク軽減を推進することが不可欠です。情報セキュリティガイドラインやリスク評価基準を共有し、合同での訓練や定期的な監査体制を整備します。
評価によって課題が明確になった場合は相互に改善策を検討・実施し、サプライチェーン全体の対策水準を底上げします。こうした共同作業により、脆弱性の早期発見と迅速な脅威対応が可能となります。
※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省/独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
実務者のためのサプライチェーンセキュリティ手引書|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
4.サプライチェーンの監視や改善活動を続ける
サプライチェーンリスク管理は一度実施して完了とするのではなく、継続的な監視と定期的な見直しが不可欠です。
取引先におけるシステムの運用状況やセキュリティ対策の実施状況を定期的に確認し、新たなサイバー攻撃の脅威や環境の変化に対応することが大切です。評価結果に基づき管理方針や運用ルールを継続的に改善し、供給網全体の安全性と事業継続力を高水準に維持する必要があります。
※参考:実務者のためのサプライチェーンセキュリティ手引書|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
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サービスの概要資料を受け取るまとめ
サプライチェーンリスク管理は、企業の持続的な事業運営および社会的信用を維持するために不可欠な取り組みです。自社内のセキュリティ強化のみならず、サプライチェーンを構成する取引先との密接な連携や情報共有体制の確立が求められます。
リスクの特定・分析から対応戦略の策定、SCMシステムの導入、BCP策定といったステップを順序立てて推進し、定期的な監視と改善を継続することが重要です。
供給網全体のセキュリティレベル向上とリスク低減に努め、予期せぬ障害が発生した際にも迅速に対処できる堅牢な体制を構築する必要があります。
サプライチェーンのセキュリティを強化するためには、企業間のやりとりに使用するメールのセキュリティ対策も重要です。一般的なグループウェアはメールセキュリティ機能が不足している場合も多く、ウイルスの侵入経路となるケースが少なくありません。
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