公開日

2026年7月28日

サプライチェーン攻撃とは?仕組み・事例・対策をわかりやすく解説

サプライチェーン攻撃とは?仕組み・事例・対策をわかりやすく解説

サプライチェーン攻撃は、自社の対策が万全でも取引先を経由して侵入される深刻な脅威です。本記事では、具体的な被害事例や今すぐ取り組むべき多層的な防御策を徹底解説します。供給網全体のセキュリティ水準を向上させ、予期せぬ情報漏洩や業務停止のリスクから自社を守る具体的な手立てが分かります。 

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サプライチェーン攻撃とは

サプライチェーン攻撃とは、製品やサービスの供給網における脆弱性を悪用して標的組織を狙うサイバー攻撃です。 

サプライチェーン攻撃の定義

サプライチェーン攻撃とは、セキュリティが強固な標的企業(大企業など)を直接狙うのではなく、その取引先や子会社、外部委託先など、セキュリティ対策が手薄な「供給網(サプライチェーン)」の隙を突いて侵入するサイバー攻撃です。信頼関係にある組織を経由するため、防ぐことが極めて難しいのが特徴です。 

一般的なサイバー攻撃との違い

一般的なサイバー攻撃は、標的となる企業やシステムの脆弱性を直接狙ってハッキングを試みます。これに対してサプライチェーン攻撃は、ターゲットそのものではなく、その周辺にある「セキュリティの最も弱い組織やシステム」を最初の突破口にします。どれほど本命の組織が強固な防御壁を築いていても、検知が困難な点が異なります。 

サプライチェーン攻撃の近年の動向

近年のサイバー攻撃において、サプライチェーン攻撃は非常に深刻な脅威となっています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024」の組織編において、サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃が2位にランクインするなど、上位に位置づけられ続けています。

特に大企業と取引のある中小企業を狙ったランサムウェア感染などの被害が相次いでおり、サプライチェーン全体の脆弱性を突く動きがより巧妙化しているのが現状です。

※参考:情報セキュリティ10大脅威 2026 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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サプライチェーン攻撃が増加する背景

サプライチェーン攻撃が増加する背景には、大企業の強固なセキュリティ対策があります。大企業は強固な防御壁を築いているため、ハッカーが直接ハッキングを試みても侵入は容易ではありません。一方で、関連会社や外部委託先の中小企業はセキュリティ予算や人員が限られており、脆弱性が残りやすい傾向にあります。

攻撃者はこのセキュリティ格差に着目し、最も防御の薄い組織を最初の突破口として選ぶため、被害が増加しています。 

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サプライチェーン攻撃の種類

サプライチェーン攻撃には、おもに「ソフトウェア」「サービス」「ビジネス」の3種類があります。 

ソフトウェアサプライチェーン攻撃

ソフトウェアサプライチェーン攻撃とは、IT製品の開発段階やアップデート用の配信サーバを狙う手法です。製品の開発元をハッキングして悪意のあるコードを仕込み、信頼された正規のアップデートやアプリとしてユーザ(標的企業)に配布・インストールさせます。ユーザ側は正規のプログラムとして処理するため、防御や検知が非常に困難です。 

サービスサプライチェーン攻撃

サービスサプライチェーン攻撃とは、標的組織が利用している外部のクラウドサービスや、業務委託先のITシステムを踏み台にする手法です。管理権限を持つ外部ベンダーのネットワークに侵入し、そこから接続された本命のターゲット企業へ不正アクセスを試みます。委託先のセキュリティ管理の甘さが、グループ全体の致命的なリスクとなります。 

ビジネスサプライチェーン攻撃

ビジネスサプライチェーン攻撃とは、企業の業務プロセス(供給網)において密接に関わる取引先や子会社を経由して、本命の標的組織へ侵入する手法です。セキュリティ対策が相対的に手薄な中小の関連企業に不正アクセスし、そこを足がかりに大企業の社内ネットワークへ侵入したり、機密情報を窃取したりします。 

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サプライチェーン攻撃のおもな手口

昨今、サプライチェーン攻撃はメール起因のものが増えてきています。その手口は、標的との関係性や侵入経路によっておもに3つに分類されます。

関連会社から経由する

この手口では、セキュリティ対策が手薄な海外子会社や地方の関連会社を最初のターゲットにします。攻撃者は、これらの組織のシステムへ不正アクセスして侵入拠点を構築し、そこから本社と結ばれている社内ネットワークやVPN(仮想専用線)を経由して、本命である大手企業の本社システムへと侵入を試みます。 

委託先から情報を窃取する

業務を外部委託している場合、その委託先が保有しているターゲット企業の機密情報やアクセス権限が狙われます。攻撃者は、委託先のサーバや従業員のパソコンにマルウェアを感染させるなどして不正アクセスを行い、預けられている顧客データや技術情報を盗み出します。自社の防御が万全でも、委託先から情報が漏洩するリスクは避けられません。 

ソフトウェアやサービスを経由する

日常的に業務で使用しているソフトウェアのアップデートファイルや、クラウドサービスそのものに悪意のあるコードを混入させる手口です。開発元の配信サーバや正規のプログラム自体が改ざんされるため、利用企業側は「公式の正しい更新」として信じて受け入れてしまい、システム全体へマルウェアを拡散させます。 

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サプライチェーン攻撃の被害事例

国内外で実際に発生した、サプライチェーン攻撃による深刻なセキュリティ被害の事例を解説します。 

不正アクセスにより情報が漏洩した事例

大手企業のシステム開発や運用を担う外部の委託先(ITベンダー)が不正アクセスを受け、そこに保管されていた顧客の個人情報やクレジットカード情報、機密データが外部に流出した事例があります。委託先のサーバ管理の不備や脆弱性が突かれた結果、委託元である大企業のブランドイメージ失墜や損害賠償といった多大な被害に発展しました。 

不正アクセスにより業務が停止した事例

自動車メーカの主要な取引先(部品サプライヤー)がランサムウェア攻撃を受け、部品の供給管理システムが暗号化されて稼働不能になった事例があります。この委託先のシステム停止が原因で、自動車メーカ側も部品調達ができなくなり、国内すべての工場の生産ラインを一時的に停止せざるを得ないという、莫大な経済的損失が生じました。 

ランサムウェア攻撃により情報が漏洩した事例

企業の物流やバックオフィス業務を受託している外部の配送・印刷ベンダーがランサムウェアに感染し、預かっていた大量の個人情報や発送先リストが暗号化されるとともに、外部へ漏洩した事例があります。攻撃者はシステムをロックするだけでなく、データを人質にして「身代金を支払わなければ情報を公開する」と企業を脅迫する手口を用いました。 

ソフトウェアに悪意のあるコードが仕込まれた事例

広く世界中で利用されているネットワーク管理ソフトウェアの開発元がハッキングされ、正規のアップデートファイル内に悪意のあるプログラム(バックドア)が仕込まれた事例があります。この改ざんされたファイルを、官公庁や大企業などの数多くのユーザが気づかずに適用した結果、大規模な機密情報の不正窃取へとつながりました。 

ウイルス付きメールによりマルウェアに感染した事例

ある職員の電子メールアドレスに、知人を装って送付されたマルウェア付きのメールを開封し、マルウェアに感染しました。マルウェアにより、組織内部の情報収集が実行され、外部へ送信されていました。

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サプライチェーン攻撃への対策

サプライチェーン攻撃を防ぐには、自社だけでなく供給網全体を見据えた多層的な対策が必要です。インフラ環境を問わず一元的に導入できるクラウド型のセキュリティサービスを活用し、グループ全体で統一した防御策を敷くことが現実的かつ効果的です。

セキュリティ管理を強化する

自社およびグループ企業全体のセキュリティ管理体制を見直し、強化することが重要です。具体的には、社内ネットワークや重要なサーバへのアクセス権限を最小限に制限し、認証を厳格化します。特に外部から社内へ接続するVPN装置などの脆弱性を放置せず、最新のセキュリティ修正パッチを迅速に適用する運用ルールを徹底します。 

メールの受け取り対策強化、防御強化として、スパムフィルターの活用、送信ドメイン認証の確認、受信許可リストの設定なども有効です。

取引先・委託先のリスクを管理する

取引先や外部委託先におけるセキュリティリスクの把握と管理(TPRM:サードパーティ・リスク・マネジメント)が必要です。契約時や定期的な監査の際に、独自のセキュリティチェックリストやアンケートを用いて、相手方の安全基準や対策状況を可視化します。明確なセキュリティ基準を定め、クリアした相手とのみ取引を行います。 

社員教育を徹底する

サプライチェーン攻撃の初期侵入には、従業員を狙ったビジネスメール詐欺やフィッシングメール、不審な添付ファイルが悪用されるケースが多く見られます。そのため、全社員を対象としたセキュリティ教育の徹底が不可欠です。具体的な事例を用いた標的型メール訓練を定期的に実施し、組織全体のセキュリティ意識を高めます。 

技術的対策を行う

侵入されることを前提とした技術的対策(ゼロトラストの導入)が有効です。エンドポイント(パソコンやサーバ)の挙動を監視して不審な動きを検知・遮断するEDRの導入や、すべてのアクセスに対して認証を行う仕組みを構築します。また、万が一の感染時に被害が拡大しないよう、社内ネットワークを業務ごとに適切に分離します。 

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サプライチェーン全体で取り組むべきセキュリティ対策

一社のみの対策には限界があるため、供給網に関わるすべての企業が連携・協力して対策に取り組む必要があります。 

NIST・IPAなどガイドラインを活用する

経済産業省や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」や、米国のNISTが発行する基準などのフレームワークを指標として活用します。これら公的なガイドラインに沿って自社とサプライチェーン全体のセキュリティ成熟度を診断し、統一された安全基準を設けることが効果的です。 

※参考:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0|経済産業省

※参考:実務者のための サプライチェーンセキュリティ 手引書|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

継続的に監査とモニタリングを行う

セキュリティ対策は一度構築して終わりではなく、継続的な運用と評価が必要です。取引先や外部委託先に対して定期的なセキュリティ監査やセルフチェックを実施し、対策の形骸化を防ぎます。また、サプライチェーン全体のネットワークログやアクセス状況を常時モニタリングし、不審な挙動を早期に検知できる体制を維持し続けます。 

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まとめ

サプライチェーン攻撃は、自社のセキュリティ対策が万全であっても、取引先や委託先といった防衛の薄い部分から侵入される深刻な脅威です。この被害を防ぐには、自社単体の防衛にとどまらず、供給網を構成するすべての組織が一体となってセキュリティ水準を向上させる必要があります。定期的な監査の実施や公的ガイドラインの活用を進め、組織全体の防御力を継続的に高める体制の構築が求められます。 

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