公開日

2025年10月24日

インシデント管理とは?基本フローやよくある課題、ポイントを解説

インシデント管理とは?

「インシデント管理」は、ITサービスマネジメントにおいて大切な役割を担います。インシデント管理を怠ると、企業にもユーザにもさまざまな悪影響が及びかねません。

本記事では、インシデント管理の重要性・基本フローに加え、よくある課題と成功のポイントを解説します。

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インシデント管理とは

インシデント(incident)とは、一般に「事件」や「できごと」を意味する英単語です。IT分野においては、情報セキュリティやITサービスについて、組織にとってのリスクになり得る事象を指します。

IT分野におけるインシデント管理とは、ITサービスの停止や品質低下、セキュリティ上の問題など、ユーザに影響を与える事象 が発生した際に、ユーザがサービスを正常に使える状態に復旧させるための活動です。インシデント管理では、原因究明や再発防止よりも、スピーディな復旧を第一に考えます。

問題管理との違い

インシデント管理がITサービスの復旧を優先する活動なのに対し、「問題管理」とはインシデントの根本原因を特定し、再発防止につながる恒久的対策を講じるための活動です。

つまり、インシデント管理は目の前の問題を素早く解決することを、問題管理はトラブルの根本的・長期的解決に重きを置くという違いがあります。

インシデントの具体例

ITサービス運用上のインシデントとセキュリティインシデントには、具体的には以下のようなケースがあります。

・ユーザがシステムにログインできなくなる
・システムが操作不能になる
・システムを立ち上げると「ライセンスが失効している」というエラーが表示される
・従業員が不審なメールの添付ファイルを開いたことにより、パソコンがマルウェアに感染する
・不正アクセスにより企業の機密情報が流出する
・従業員がUSBメモリを紛失したことにより顧客情報が流出する

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インシデント管理の目的と重要性

インシデント管理の目的は、ITサービスで起きた問題を一刻も早く解消し、インシデントによる被害や業務への影響を最小限に抑えることです。

インシデントは、内容次第では業務停止や社会的信用の低下などに追い込まれ、最悪の場合は事業の存続そのものが危ぶまれるような重大事態が発生するケースもあります。インシデント対応の仕組みを作っておけば、重大インシデントにも素早く的確に対応することにより、事態の悪化を防止できます。

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【視点別】インシデント管理のメリット

ここからは、インシデント管理のメリットを「ユーザサポート担当者」「マネージャ」「ユーザ」の3つの視点から解説します。

ユーザサポート担当者視点でのメリット

インシデント管理を適切に行うと、インシデントを迅速に検知できるようになります。ユーザサポート担当者がユーザの問い合わせや報告からインシデントを素早く見つけ出し、適切に対応できるため、顧客満足度を向上させることが可能です。

また、ナレッジデータベースが構築されていくことによって対応品質が高まり、担当者自身のスキル向上にもつながります。

マネージャ視点でのメリット

インシデント管理を適切に行うと、マネージャは全体の状況を把握した上で、インシデント対応に割くリソースを効率的に配分できます。例えば、軽微なインシデントは担当者に任せ、自身は事業に影響を及ぼすような事案に集中するといった対応が可能です。

その結果、成果の向上や、フィードバックを通じた管理体制の改善にもつなげられます。

ユーザ視点でのメリット

インシデント管理は、サービス提供側だけでなく、ユーザにとっても有益です。迅速な対応によってITサービスがスムーズに復旧されることで、ユーザへの影響が最小限に抑えられます。

復旧後に再発防止策が講じられることにより、安心してサービスを利用し続けられる点もメリットです。

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インシデント管理の流れ

ここからは、インシデント管理の基本的な流れを紹介します。

インシデントが検出される

インシデント管理の最初のステップは、インシデントの発生を認識することから始まります。

具体的には、システム監視ツールからのアラートやユーザからの問い合わせなどにより、インシデントが検出されます。インシデントを認識したら、その発生の経緯を記録しておいてください。

 内容や影響範囲に応じて分類する

次に、インシデントの内容や影響範囲に応じて分類します。ナレッジデータベースで過去に似たような事例がないか確認し、対応の優先度や緊急度などを検討してください。

また、社内ルールにのっとり、インシデントの報告・連絡をすることも大切です。現場の担当者では判断が難しい場合は、必要に応じて上司の指示を仰ぎます。

インシデント担当者が対応を進める

ITサービスの復旧を最優先として、現場の担当者がインシデントに対応します。現場での対応が難しい場合は、詳細な調査や診断が可能な専門チームに相談し、必要に応じてマネージャや責任者にエスカレーションしてください。

インシデントの難度を的確に見極め、対応が困難と判断したら迷わず上位の管理者へ引き継ぐことが重要です。

インシデントを解消する

担当者またはエスカレーションによる対応で、インシデントを解消してください。インシデントの解消後は、問い合わせてきたユーザに回答したり、サービスの利用者や関係者に復旧を周知したりします。インシデントの経緯や対応方法について、詳細に記録することも大切です。

また、インシデントの内容によっては、解消後も経過観察します。

再発防止策を検討する

一連のインシデント対応が完了したら、必要に応じて問題管理プロセスに引き継ぎ、再発防止策を検討します。

特に、インシデントへの対応が一時的な措置でしかない場合は、より恒久的な解決策を講じなくてはなりません。根本原因の究明や運用プロセスの見直しなどを通じて、同じようなインシデントを未然に防いでください。

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インシデント管理のよくある課題

インシデント管理には、以下のようにさまざまな課題がつきものです。

・担当者がインシデント管理の目的を理解していない
・インシデント管理の担当者が誰か分からない
・情報共有ができておらず、インシデント対応の進捗(しんちょく)状況を把握できない
・問い合わせ対応のノウハウが蓄積されておらず、特定の従業員しか対応できない
・根本原因が特定されておらず、同じインシデントを繰り返している
・インシデント対応の記録が残されておらず、ナレッジが蓄積されていない

これらの課題を解消せずにいると、インシデント管理が妨げられる可能性があります。重要な局面で対応の遅れを招く恐れもあるため、解消に努めてください。

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インシデント管理を成功させるためのポイント

インシデント管理を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

インシデント対応のルールを策定する

インシデント発生時に適切なエスカレーションを行うため、社内のオペレーションルールを策定してください。ルールが明確化されていれば、担当者は引き継ぎが必要なタイミングや情報を理解しやすくなります。

これにより対応の遅れを防止でき、重大なインシデントが発生した場合に事業へのダメージを最小限に抑えることが可能です。

ナレッジを蓄積する

インシデント管理を成功させるためには、過去のインシデント発生時の対応を記録し、ナレッジとして蓄積することも大切です。ナレッジデータベースを構築すれば、担当者個人の経験や勘に頼らず、適切に対応できるようになります。

また、過去の事例を参照して現場の担当者が対応できる範囲が増えれば、安易なエスカレーションも避けられます。

インシデント管理ツールを活用する

インシデント対応を効率化するなら、インシデント管理ツールの導入がおすすめです。インシデント管理ツールとは、インシデント発生時の一連の対応を支援するツールです。

インシデント発生から解決までのワークフローや対応状況を可視化でき、迅速な対応や情報共有を実現しやすくなります。また、インシデントの分析・報告も可能なので、再発防止にもつながります。

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インシデント管理ツールを選ぶ際のチェックポイント

インシデント管理ツールを導入する場合は、以下の4つのポイントをチェックして自社に最適なツールを選んでください。

自社の課題解消につながるタイプのツールか

インシデント管理ツールは、問い合わせ対応に強みを持つタイプ(サービスデスク型)、 プロジェクト管理に強みを持つタイプ(タスク・プロジェクト管理型)に 分類されます。

前者には、問い合わせの振り分けや対応状況の可視化ができる機能が備わっており、ユーザからの問い合わせへの迅速な対応を支援してくれます。一方、後者はタスク管理や進捗管理と同時にインシデント管理もできるタイプで、プロジェクトの進行とインシデント管理を両立しやすい点がメリットです。

問い合わせ対応を強化すべきか、プロジェクト管理を強化すべきか、自社の課題に合わせて適切なタイプを選択してください。

カスタマイズやメンテナンスがしやすいか

インシデント管理ツールを選ぶ際は、カスタマイズ性の高さも重要なポイントです。カスタマイズがしやすいツールなら、自社のワークフローに合わせて柔軟な運用ができます。監視ツールやビジネスチャットツールなど、外部ツールとの連携が可能かもチェックしてください。

また、インシデント管理ツールは導入後にメンテナンスが必要になる場合があるため、ベンダのメンテナンスサポートについても確認すると安心です。

自社に必要な機能が備わっているか

ンシデント管理ツールには、対応の迅速化や効率化に役立つさまざまな機能が搭載されています。例えば、AIによる自動回答機能が搭載されたツールなら、問い合わせ業務の負担を軽減しながら、ユーザ満足度の向上につなげることが可能です。

対応履歴の一元管理や対応状況の可視化といった基本的な機能に加え、自社に必要な機能が備わっていることを確認してください。

コストは適正か

導入にかかるコストが適正であり、予算内に収まるかどうかも大切です。

初期費用だけでなく、月額費用やカスタマイズ費用などを洗い出してコストの総額を把握し、費用対効果を検討してください。

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まとめ

ITシステム運用におけるインシデント管理とは、ITサービスに発生した問題を解消し、迅速に復旧させるための活動です。インシデントによる事業への影響を最小限に抑えるためには、適切なインシデント管理が欠かせません。

また、インシデントを発生させないための対策も重要です。セキュリティ関連のインシデントはメールに起因する場合も多いため、メールのセキュリティ対策も強化してください。

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