公開日

2025年10月21日

メールサーバの移行パターンと基本手順|注意点やよくあるトラブルの対処法も解説

メールサーバの移行パターンと基本手順|注意点やよくあるトラブルの対処法も解説

現行のメールサーバに課題や不満を感じつつも、移行方法が分からず、二の足を踏むケースは多いものです。

本記事では、移行先別・運用方法別のメールサーバの移行パターンや、基本的な移行手順を解説します。メールサーバの移行における注意点や、移行後のよくあるトラブルと対処法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

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メールサーバの移行が必要なケース

以下のようなケースに当てはまる場合は、メールサーバの移行が必要です。

機能やスペックが不足している

現行サーバの機能やスペックが十分ではない場合は、サーバの移行を推奨します。 例えば、メーリングリストなど業務遂行に役立つ機能がない場合や、アクセス負荷の増大によりサーバが重くなった場合などです。

料金がサービスに見合っていない

機能やスペックに不満がなくても、料金が見合っていない場合は、サーバの移行を推奨します 。自社が本当に求めている機能やスペックを整理して、予算の範囲内で移行先を選定することが大切です。

サポートサービスに不満がある

サーバ事業者からのサポートが不足していると、トラブル発生時に迅速な支援を受けられず、業務に支障が出る恐れがあります。「問い合わせても返答に時間がかかる」「寄り添った対応を受けられない」といった場合は、サポートサービスが充実したサーバに移行することを推奨します。

サーバが老朽化している

サーバの耐用年数は、3〜5年が目安です。

老朽化したサーバを放置すると、ハードウェアの故障やセキュリティの脆弱化などを招く恐れがあります。処理能力が落ちることで業務効率が低下するリスクもあるため、古いサーバを使い続けている場合も移行を検討することを推奨します。

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メールサーバの移行パターン

メールサーバの移行パターンを移行先別・運用方法別に解説します。

移行先別の移行パターン

移行先別に考えた場合、メールサーバの移行パターンは以下の3つに分かれます。

オンプレミス

オンプレミスとは、自社内にサーバやソフトウェア などの情報機器を設置し、自社で運用・管理を行う形態のことです。自社の要件に合わせたカスタマイズが可能であり、既存システムと連携させやすいというメリットもあります。

オンプレミス型のサーバに移行する場合、物理的なサーバを用意してから移行作業を進めます。ほかにOSや周辺機器なども購入するため、初期費用が高額になりがちです。

クラウド

クラウドとは、インターネットを通じてサーバのようなITリソースを利用する形態のことです。物理的なサーバを用意する必要がなく、初期費用を抑えやすい傾向があります。移行にかかる手間もそれほど多くありません。

クラウドサーバに移行する場合、まず行うべきことはサービスの選定です。 クラウドサーバは、主にIaaSとPaaSの2種類に分かれます。IaaSはOSのインストールやドメイン設定などは自社で対応するのに対し、PaaSは初期設定のみで手軽に利用開始できます。

仮想サーバ

仮想サーバとは、1台の物理的なサーバ上に、複数の独立した仮想的サーバ環境を構築したものです。サーバの台数を減らせるためコストを抑えやすく、柔軟性の高さが魅力です。

仮想サーバに移行する場合は、まず仮想化ソフトを使って仮想マシンを作成してから、メールサーバの構築を進めます。

運用方法別の移行パターン

運用方法別に考えた場合、メールサーバの移行パターンは以下の3つに分かれます。

POP接続

POP(Post Office Protocol)接続とは、メールデータをパソコンやスマートフォンなどに保存する受信方式です。

POP接続で運用している場合は、移行後もデバイス内にメールデータが残るため、データの移行作業は必要ありません。移行先のサーバでメールアドレスを取得し、新サーバやメールソフトの設定を済ませたら移行完了となります。

IMAP接続

IMAP(Internet Message Access Protocol)接続とは、メールデータをサーバ上に保存する受信方式です。

IMAP接続で運用している場合、デバイス内にメールが残らないため、別途データの引き継ぎ作業が必要です。メールデータの移行方法はメールソフトによって異なりますが、手動で行う方法と、専用ツールを使用する方法が あります。

Webメール

Webメールとは、インターネットを通じてWebブラウザ上で利用するメールサービスです。

Webメールサービスを利用している場合、メールデータを引き継ぐには、POP接続またはIMAP接続で新規設定をして移行作業を行う必要があります。なお、例外として、一部のレンタルサーバ同士であればWebメールデータを移行できる場合があります。

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メールサーバ移行の基本手順

ここからは、移行前のドメインを移行後も使用するケースを前提に、メールサーバ移行の基本的な手順を解説します。なお、ここまで解説してきたとおり、実際の移行手順は移行先の形態や運用方法によって異なるため注意が必要です。

旧サーバのバックアップをとる

まず旧サーバのメールデータをバックアップします。

あらかじめデータを保存しておくことで、データの破損・消失によるリスクを低減できます。バックアップはローカル端末やクラウドストレージなど、複数の場所に作成しておくと安心です。

新しいサーバを契約する

次に、新しいメールサーバを選定し、契約します。

自社の課題を整理した上で、料金や機能、スペックやサポート体制などを総合的に判断することが大切です。また、並行稼働期間が設けられているサーバなら、移行作業中もメールを利用できるため、業務に支障が出にくいというメリットがあります。

 新サーバにドメインを登録する

新サーバとの契約が完了したら、これまで使用していたドメインを新サーバに登録します。新サーバの管理画面からドメイン設定のページを開き、登録を完了してください。

旧サーバのデータを新サーバにアップロードする

次に、旧サーバのメールデータを新サーバにアップロードします。

新サーバの管理画面からアップロードをするか、FTPソフト(ファイル転送プロトコルソフト)を利用するなどして、バックアップをとったデータを移行します 。

新サーバにメールアドレスを登録する

旧サーバで使用していたメールアドレスをそのまま使う場合は、新サーバにメールアドレスを登録します。新サーバの管理画面にメールアカウントの設定のページがあり、そこからアカウントを追加できる場合が一般的です。

その際、アカウント名やパスワード、メールボックスの容量などが正しく登録されていることを確認します。

メールソフトでのアカウント追加や設定

新サーバにメールアドレスの設定が完了したら、使用しているメールソフトでも登録を済ませます。具体的な設定方法はメールソフトによって異なるため、分からない場合はヘルプページを確認するか、問い合わせ窓口からの相談がおすすめです。

また、このとき、接続方法や受信・送信サーバのアドレスなどの設定も行います。

新サーバにドメインを紐ひも付ける

次に、旧サーバで使用していたドメインを新サーバにひも付けます。

ドメイン管理サービスのDNS管理画面から旧サーバのMXレコードを削除し、代わりに新サーバのMXレコードを登録します 。その際、可能であればTTL(更新間隔)は短く設定します。

メールの動作を確認する

ここまでの設定が完了したら、メールの動作チェックを行います。

送受信に問題がないか、ヘッダー情報が正しいかを確認します。

旧サーバを解約する

新サーバでメールを問題なく使用できることを確認したら、旧サーバを忘れずに解約することが大切です。

旧サーバを契約したままにすると、二重請求で余計なコストが発生します。

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メールサーバの移行時に注意したいポイント

メールサーバを移行する際は、以下の3つのポイントに注意が必要です。

DNSサーバーの切り替えには時間がかかる

DNSサーバの切り替えは即座に反映されるわけではなく、通常は数時間~72時間程度、長いと1週間程度かかる場合もあります。その間は新旧DNS情報が混在しており、旧サーバにメールが届く場合もあるため注意が必要です。

適切なタイミングで移行する

DNSサーバの切り替えに時間がかかることを考慮し、メールサーバの移行は適切なタイミングで実施することが重要です 。繁忙期や、利用が集中する時間帯に移行作業を行うと、メールが届かないなどのトラブルで業務に支障をきたす恐れがあります。

例えば、土日休みの企業なら、移行作業のタイミングは金曜日の夜がおすすめです。

入念な準備を行う

メールサーバの移行作業において、ミスやトラブルを完全になくすことは困難です。移行中に何らかの問題が発生しても業務に支障が出ないよう、万全の体制を整える必要があります。

具体的には、以下のような準備が必要です。

・移行するデータを洗い出す
・データ損失に備えてバックアップをとる
・旧サーバ(現行サーバ)の設定を確認する
・移行手順を確認する など

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メールサーバの移行後によくあるトラブルと対処法

最後は、メールサーバの移行後によくあるトラブルと、それぞれの対処法を解説します。

メールが送受信できない

メールが送受信できない場合、不具合ではなく、単なる宛先間違いによりメールが送受信できていない可能性も考えられます。まずは宛先に問題がないことを確認し、以下のようなポイントをチェックしてください 。

・メールソフトの設定に誤りがないか
・MXレコードが正しく設定されているか
・新サーバでメールアカウントの作成を忘れていないか など

メールが迷惑フォルダに振り分けられる

送信したメールが迷惑メールとして扱われてしまう場合は、SPF認証やDKIM認証などの送信ドメイン認証がされていない可能性が考えられます。

そのほか、以下のような場合も迷惑メールとして判定されることがあります。認証に問題がない場合は、メールの本文や送り方なども見直すことが大切です。

・アドレスが著名な企業のものに似ている
・迷惑メールの頻出ワードを使用している
・相手の受信環境に合わない形式で送信している など

過去のメールが見当たらない

過去のメールが見当たらない場合は、メールデータの移行作業が完了していない可能性が考えられます。旧サーバを解約するまでにメールを移行しないと、データが削除されてしまうので注意が必要です。

なお、Webメールから移行する場合は、POP接続やIMAP接続でメールを受信しておく必要があります。

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まとめ

メールサーバの移行方法は、移行先のサーバの形態や現在の運用方法などにより異なります。移行作業にはトラブルがつきもののため、バックアップは確実にとっておくことが大切です。

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機能やスペックが十分なメールサーバへ移行後は、メールのセキュリティ対策を見直すことも重要です。

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