公開日

2025年10月21日

AWSでメールサーバを構築する方法|メリットや具体的な手順を解説

Amazon社が提供する「AWS」は、メールサーバの構築にも活用されることがあります。

本記事では、AWSでメールサーバを構築するメリットや、具体的なやり方についてまとめました。AWSでメールサーバを構築する際に注意したいポイントも解説するので、導入を検討している人はぜひ参考にしてください。

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AWSとは?

AWSとは「Amazon Web Services」の略称であり、Amazon社が提供するクラウドサービスの総称です。サーバ構築やWebサイト構築、データ保管などの多様なサービスを展開しており、その数は200を超えます。

ユーザは、AWSのさまざまなサービスをビジネスの成長に役立てることが可能です。

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AWSでメール送信をする方法

AWSを使ってメールを送信したい場合、次のような方法が考えられます。

 Amazon Simple Email Service(SES)を利用する

Amazon Simple Email Service(以下、SES)は、AWSが提供するメール送受信サービスです。メールサーバを手軽に構築でき、保守・運用にかかる負担も少なく済みます。

従量課金制のため余分なコストが発生しにくく、初期費用やランニングコストを抑えやすいところもメリットです。トラフィックの増減にも自動で対応でき、大量のメールを頻繁に送信したい場合に適しています。サーバの管理をAWS側に任せられるため、専門性を持つ人材が不足している企業にもおすすめです。

Amazon EC2でSMTPサーバを構築する

Amazon EC2(以下、EC2)とは、AWSが提供する仮想サーバサービスです。クラウド上に仮想サーバを構築することができ、さまざまな用途に活用できます。

EC2 を利用すれば、メール送信用サーバであるSMTPサーバも構築可能です。1からサーバを構築するため自由度が高く、自社のニーズに合わせた環境を作り出せます。

ただし、EC2を使いこなすには高い専門性が求められ、運用や障害対応なども自社で行う必要があります。

また、EC2はスパムメール送信防止のため、全てのEC2インスタンスのポート25 (SMTP) でのアウトバウンドトラフィックをデフォルトでブロックしています。そのため、ブロック解除の申請が必要です。

また、EC2はスパムメール送信防止のため、全てのEC2インスタンスのポート25 (SMTP) でのアウトバウンドトラフィックをデフォルトでブロックしています。そのため、ブロック解除の申請が必要です。

Amazon WorkMailを利用する

Amazon WorkMailとは、AWSが企業向けに提供するメールおよびカレンダーのマネージド型サービスです。

ソフトウェアのインストールや運用・保守などの手間いらずで、安全性の高いメール環境を利用可能です。Microsoft Outlookとの互換性もあり、現在のメールクライアントをそのまま利用できるため、Outlookを導入済みの企業にもメリットがあります。

また、マルチデバイスに対応している点も特徴です。iOSやAndroidなどさまざまなデバイスとの同期が可能で、利便性に優れています。

SMTPリレーサービスを利用する

SMTPリレーサービスとは、外部のSMTPサーバを利用してメールを中継・送信するサービスのことです。メールの送信を外部にアウトソースすることで、サーバの管理やセキュリティ対策などの負荷を軽減できます。

AWSを使ってメールを送信する場合でも、AWSの機能を用いてサーバを構築するのではなく、SMTPリレーサービスを利用するという方法もあります。メール到達率の改善も任せられるため、重要度の高いメールを配信する場合におすすめです。

ただし、外部サービスを利用するため、コストが高額になる可能性があります。

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AWSでメールサーバを構築する3つのメリット

AWSでメールサーバを構築するメリットは、以下の3つです。

コストを削減できる

メールサーバの構築を含め、AWSで提供されるサービスは全てクラウドベースです。従来のオンプレミス型のメールサーバと比べ、自社にサーバを設置する必要がなく、初期費用を大幅に抑えられます。

また、サーバの管理やメンテナンスもAWS側に任せられる場合があり、運用にかかる人件費も削減できます。

柔軟性が高い

AWSは、ビジネスの規模や利用状況に合わせたカスタマイズが可能です。メールサーバの容量も状況に応じて変更でき、メールの送信数が増加する繁忙期にはリソースを増やし、閑散期にはリソースを抑えるといった柔軟な対応が取れます。

また、AWSの多様なサービスとの連携により、必要な機能を容易に追加できます。

セキュリティリスクを低減できる

AWSのセキュリティレベルは世界トップレベルです。第三者認証を受けた包括的なセキュリティ対策により、信頼性の高いセキュリティ基盤を提供し、世界中の企業から選ばれています。

厳格な基準をクリアしたAWSでメールサーバを構築すれば、サイバー攻撃によるセキュリティリスクを労せず低減することが可能です。

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AWSでメールサーバを構築する手順(SESを利用する場合)

ここからは、SESを利用してメールサーバを構築する手順を紹介します。基本的な手順は、以下の通りです。

  1. 1.SESの管理ページへアクセスする
  2. 2.IDを作成する
  3. 3.DNSに指定レコードを追加する
  4. 4.ステータスを確認する
  5. 5.テストを行う

SESの管理ページへアクセスする

はじめに、AWSのコンソール画面からSESの管理ページへアクセスしましょう。

管理画面を開いたら、リージョン(地域)を選択します。メールの受信機能を利用できるリージョンは限られますが、近年東京リージョンでも可能となりました。

IDを作成する

リージョンを選択したら、ドメインまたはメールアドレスを設定してIDを作成します。

ナビゲーションメニューの「検証済みID」→「IDの作成」の順にクリックし、登録画面を開きましょう。IDタイプから「ドメイン」または「Eメールアドレス」を選択して、取得しているドメイン名やメールアドレスを入力します。

ここからは例として、ドメインを登録する場合の工程を解説します。ドメインを登録する場合、「カスタムMAIL FROMドメイン」の設定をするとメールの到達率を高めることが可能です。ドメインの検証で「DKIM設定」を行い、ドメインの登録を完了させましょう。

DNSに指定レコードを追加する

次に、DNSへレコードを追加または確認します。ドメインをRoute53のDNSで管理している場合は、1つ前のステップですでに自動的にレコードが追加されているため、確認するだけで問題ありません。

Route53以外でドメインを管理している場合は、SESのID詳細画面に表示されているレコードを手動で登録します。

ステータスを確認する

DNSへのレコード登録が完了すると、SESで確認できるステータスが変更されます。

1〜10分後にステータスを確認し、全て「検証済み」または「成功」に更新されていれば問題ありません。

テストを行う

最後に、メールが問題なく送信できるかテストを行いましょう。なお、サンドボックス状態を解除していない場合は、あらかじめテスト用のメールアドレスを登録しておきます。SESにテスト用のメールアドレスを登録すると認証メールが送られてくるので、クリックすれば登録完了です。

登録したメールアドレスにメールが届かない場合は、念のため迷惑メールボックスも確認しましょう。

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AWSでメールサーバを構築する際の注意点

AWSを使ってメールサーバを構築する際は、次の3つの点に注意しましょう。

セキュリティ対策に力を入れる

AWSは強固なセキュリティ基盤を提供していますが、メールの安全性を高めるためには自社によるセキュリティ対策も必要です。サーバ構築のやり方によっても異なりますが、SSL/TLSによるデータの暗号化や、ファイアウォールによる不正アクセスの遮断などの対策は不可欠といえます。

また、ウイルス対策ソフトを導入するなどして、ウイルスを検知・除去する仕組みを作ることも大切です。

IPレピュテーションを良好に保つ

IPレピュテーションとは、IPアドレスの信頼性を評価する指標です。メールの送信元のIPレピュテーションが低いと、そこから送られたメールはスパムメールとみなされ、メール到達率に影響を及ぼします。

IPレピュテーションを良好に保つためには、メールの送信頻度や内容に気を付けることや、送信ドメイン認証を設定することなどが重要です。

特に、EC2でSMTPサーバを構築する場合、IPレピュテーションのスコアが低くなる可能性があるため注意しましょう。

運用・保守を適切に行う

AWSでメールサーバを構築する場合でも、運用・保守の手間が全くかからないわけではありません。パフォーマンスの最適化やセキュリティリスクの低減のためには、適切な運用・保守が不可欠です。

特に、EC2でSMTPサーバを構築する場合は、運用・保守のリソースを多く確保する必要があります。

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まとめ

AWSが提供するサービスを利用すれば、メールサーバを容易に構築することも可能です。クラウドサーバなので従来のオンプレミス型と比べてコストを抑えやすく、セキュリティリスクを低減できるなどのメリットもあります。

ただし、安全なメール環境を構築するためには自社でのセキュリティ対策が不可欠です。

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